染色体工学 2019 2 17

 日本では、著名なスポーツ選手が、
白血病であることを自ら公表して大騒ぎとなり、
がんという病気の中では、
数が少ない白血病に注目が集まることになりました。
 私は、2007年ごろは、このサイトで、
生命科学について数多く書いていました。
 その時、興味を持ったのは、
胃がんや肺がんという症例が多い病気ではなく、
慢性骨髄性白血病(CML)という血液のがんでした。
 なぜかというと、CMLは、
染色体の転座という「工学的なもの」だからです。
 生命科学という分野においては、
外国はともかく、日本では、医者の縄張りと言われています。
 しかし、この分野にも、
工学や物理学が参入できる余地を開いてほしいと思っています。
 CMLでは、9番染色体の一部である「ABL遺伝子」と、
22番染色体の一部である「BCR遺伝子」が、相互転座して、
短い染色体(フィラデルフィア染色体)を作り、
この染色体にあるBCR-ABL遺伝子からBCR-ABLタンパクができて、
この異常なタンパクにエネルギー(ATP)が与えられると、
白血病細胞が増殖します。
 なぜ、染色体において、相互転座が起こるかわかりません。
この「相互転座」現象が起こる原因が不明であり、
ひとつには、放射線の被曝が原因かもしれないと言われていますが、
それだけでは説明がつかないものがあります。
 もし、放射線だとすると、染色体の選択的転座を説明できないと思います。
いずれにせよ、工学的な現象であり、工学的な知見が必要だと考えます。
 未来が長い若者の命を救うために、
医学、生物学、工学、物理学、化学の総力戦が必要でしょう。
(参考)
 (造血)幹細胞は、骨髄の中で、分化・成熟して、
白血球、血小板、赤血球になります。
 もし、(万能)幹細胞があれば、
それも、白血球、血小板、赤血球を作ることができるでしょう。
 もし、(筋肉などを作る)幹細胞を工学的に(万能)幹細胞に変化させることができたら、
新しい治療が始まるでしょう。

































































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